聞く・聴く・訊くの違い
人の忠告を「きく」、ラジオを「きく」、先生に「きく」。
これらは全て「きく」ですが、漢字は一緒ではありません。
一般的に一番使用されるのは「聞く」で、どの場合でもこの漢字を使っては駄目という訳ではないのですが、厳密には使い分けをするのが正しいのです。
今日は、この3つの「きく」にどのような意味や使い分け方があるのかをお伝えしていきたいと思います。
「聞く」「聴く」「訊く」の違い
◆聞く
音・声を耳で感じ取ることや、意識せずに単に音が耳に入る(漠然と耳に入ってくる)という受動的な聞き方。
また、人の意見などを了承したり、話を情報として受け入れる事をいいます。
◆聴く
自ら意識して音に耳を傾けること。
聞こえるものの内容を理解しようと進んで聞こうとする事をいいます。
◆訊く
常用漢字ではなく、「聞く」で代用することもできますが、意味としては「尋ねる」という意味があります。
ラジオや音楽、人の話や雨音、質問などに対する「聞く」「聴く」「訊く」の使い分け
上記の内容を踏まえて、それぞれの使い分けを考えてみましょう。
ラジオや音楽を「きく」場合。
これは、自らきこうとする気持ちを持っていますので、「聴く」となります。
人の話を「きく」となると、話を情報として受け入れて聞いていますので「聞く」です。
雨音を「きく」のは、自然と耳に入るものなどでこれも「聞く」です。(雨音を音楽と捉える場合は聴くでもいいかも知れません。)
名前を「きく」など、質問をする時には、人に尋ねているので「訊く」が合っているでしょう。
「聞く」「聴く」「訊く」英語ではなんと言う?
◆聞く
「hear」・・・一方的にきこえるというニュアンスで使われます。
◆聴く
「listen」・・・心を落ち着かせて傾聴する・きこうとするというニュアンスで使われます。
◆訊く
「ask」・・・尋ねる・問いただすなどのニュアンスで使われます。
ここでひとつ例を上げてみましょう。
●AさんとBさんが立ち話をしています。
そこをたまたま通り過ぎたCさんは、きく気はなかったけれど二人の会話が耳に入ってしまいました。
この場合Cさんは「話を聞いた」=hear となります。
●AさんとBさんが立ち話をしています。
そこを通りかかったDさんは、話の内容が気になり立ち止まって2人の会話に耳を済ませていました。
この場合、Dさんは「話を聴いた」=listen となります。
●AさんとBさんの立ち話をしています。
その場にいなかったEさんが後から二人に話の内容を尋ねました。
この場合はEさんは「話を訊いた」=ask となります。
どうでしょうか?
このように、情景を思い浮かべてみると分かりやすいかもしれませんね。
ビジネスで大事な「聞く力」「聴く力」「聴く力」
ビジネスシーンなどでもよく耳にする「きく力」。
「きく力」とは、コミュニケーション能力を重要視するビジネスの世界では、「話す力」以上に重要なスキルです。
・相手の話を訊くことに徹する「聞く力」
・相手の話によく耳を傾け、自分が知りたい情報を知るための「聴く力」
・相手自身の事を尋ね、さらに詳しく訊きだす「訊く力」
この3つの「きく力」を磨くことで、社会人としてもコミュニケーション能力が上がっていくはずです。
メモを取ったり、相槌を打つ、話し手の方をしっかり向く、うなずく、関連質問をするなど、「きく力」が備わっている姿勢は相手にとっても非常に好印象ですので是非実践してみて下さい。
以上のように、同じ「きく」でも、ニュアンスなどの違いで使い分けされていることが分かりました。
中でも、一般的に使われる万能な漢字はやはり「聞く」です。
全ての「きく」を「聞く」と表現してもよいのですが、やはり微妙なニュアンスを伝えるにはそれぞれのシーンに合った使い方をするのが良いですね。