足と脚の違い
体の一部である「あし」を漢字で書くとき、皆さんはきちんと使い分けていますか?
同じ「あし」でも、「足」と「脚」の漢字があるのは皆さんご存知のとおりです。
ではこの2つはそれぞれどういう意味を持ち、どうやって使い分けられているのでしょう。
どちらを使えばいいか迷ってしまう「足」と「脚」の違いを調べてみました。
足と脚の違い。意味や使い分けは?
◆足
動物の胴体から分かれ、体を支え歩行に使ったりする部分。
または物体を支える突き出た部分のこと。
人間の体でいうとくるぶしから先の部分が足です。
◆脚
ひざから下のこと。下半身全体の事を指す場合もあります。
また、生物に限らずある範囲の下側にあり、支えとなっているもののことも脚といいます。
英語でいうところの、Footが足、Legが脚といえばイメージしやすいかもしれません。
足は人の体について使用することが多く、例えば靴などは一足と数えます。
それに対し、テーブルや椅子などを一脚と数える事からもわかるように、物体の支えとなっている部分の事をいうときは脚が使われます。
また、昆虫なども足ではなく脚となるようです。
X脚は、「足」ではなく「脚」に関係している?
X脚とは、大腿骨(太もも)の骨が中心の軸に対して、ひざの関節の部分でスネが外側に傾いて、脚がX字の状態になっていることです。
つまりくるぶしから下を意味する「足」ではなく、足全体の事を指す「脚」に関係している骨の変形という事になります。
ちなみに、同じく脚に関係する骨の変形に、O脚というものもあります。
これはX脚とは逆で、大腿骨と脛骨(スネの骨)が外側に開いた状態のことで、いわゆるガニ股と呼ばれるものです。
「地に足をつける」「足を向けて寝られない」など、慣用表現は「足」になる
慣用句・慣用表現にも、足を使ったものはたくさんあります。
例えば、地に足をつける、足を向けて寝られない、足が重い、足が遠のく・・・
足が付く慣用句は実に数多くあります。
しかし、慣用・慣用表現において「脚」と表現されるものはあまりないようです。
これは、その慣用表現の意味を考えれば理由が分かります。
①地に足をつける・・・気持ちや考えがしっかり安定し、堅実で落ち着いている状態
②足を向けて寝られない・・・恩人に足を向ける事は失礼であることから、人から受けた恩を常に忘れない気持ちを表す。
③足が重い・・・出かけたりするのが嫌で、気が進まないようす。
④足が遠のく・・・今までよく行っていた場所に行かなくなる事。
どうでしょうか?
①は、しっかり足を踏ん張って安定を図るイメージ。
②③④はまさに体としての「足」そのものの意味です。
慣用句の表現に使われる足とは、足の形状のイメージ、または「足」そのものの動作から来ているので、「脚」にはならないのです。
足・脚と肢の違い
以上のことから、足と脚の違いは、だんだん見えてきたと思います。
ではもう一つ、体の部位としての「あし」という漢字が存在する事をご存知ですか?
それは「肢」です。
足や脚に比べると、日常で使うことはあまりないかもしれませんが、どういった使い道があるのでしょうか。
肢というのは「あし」と読みますが、意味としては「手足」という意味です。
人間でいうと、手を「上肢」、足を「下肢」と言います。
ではどうして足や脚に比べて肢は一般的でないのかといいますと、肢は生物学的・医学的な用語として用いられる言葉だからです。
いかがでしたか?
知っているようであまり考えずに使っていることが多い足と脚の違い。
「足」か「脚」か、書くときにどちらか迷った時は、今回のお話を是非思い出してみてくださいね!