外科と整形外科と形成外科の違い-内科との違いも
病院や医者などで、外科医、内科医などと呼ばれることはよく耳にします。
外科と内科の区別は何となくわかるように思われますが、外科と整形外科となるととっさに区別がつけづらいものです。
外科の中でも整形外科や形成外科などといわれるものもありますね。
益々混乱してしまいます。
どう違うのか整理してみましょう。
外科と整形外科と形成外科の違い
外科
外科はギリシャ語で、手による操作で治療する、つまり手術によって治療するほうが適している病気を扱う医学の一分野です。
外科の分野には頭部、胸部、腹部、四肢など体の部位ごとに専門医がいます。
そして下垂体疾患は脳神経外科、甲状腺疾患は甲状腺外科、副腎疾患は泌尿器外科などの領域に分かれています。
これらはすべて手術によって治療されます。
整形外科
四肢や脊柱などの骨格、関節や筋肉など運動器官の形態異常を矯正し、機能障害の予防と診断および治療する外科の一分科です。
整形外科は主に形態の異常を扱うため、人体の表面部の異常、例えば先天性の多指症やミツクチなども整形外科が担当していましたが、直接生命に関係がないこともあって、医学としてのこの分野の発達は遅れたようです。
形成外科
人体の表面部における組織欠損や変形を矯正します。
以前は整形外科で行っていたのですが、形成外科の分野が確立され、審美的見地からの怪我や深い火傷の傷跡の整形や、先天性の異常による多指症や痣(あざ)など目に見えておかしな状態や不快感を減少させることが目的です。
形成外科の歴史をたどってみると、紀元前6~7世紀ごろのインドでは鼻削ぎの刑というものがあり、それを再生させるための造鼻術(インド式)というものが形成外科の原点になっているようです。
形成外科は日本では、1956年に東京大学整形外科の中に形成外科特別診療所が設けられ、診療を始めたのが最初のようです。それまでは外科、眼科、耳鼻科、整形外科、皮膚科の各分野において、一部の医師たちによって手術が行われていたようです。
その後1975年には形成外科は標榜科として認められ、徐々に大学病院をはじめ国公立、私立の病院も形成外科が設置されるようになりました。
しかし未だに病院によっては形成外科としての診療を行っていない病院もあるようです。
外科の種類を見ておきましょう
消化器外科:一般の外科の事で、消化器系外科と呼ばれています
乳腺外科:乳房や乳腺に関する疾患
内分泌外科:甲状腺など内分泌臓器全般
胸部外科:開胸術と言って、食道や心臓、肺の疾患などがあります
脳神経外科:脳梗塞や脳溢血など脳血管疾患などの疾患
整形外科:四肢や脊髄疾患の外傷、骨・関節・筋肉を扱う分野
形成外科:体表の損傷の治癒、機能再建を扱います
など
内科について
内科は全身性または内臓などの疾患を薬で治すのに適した病気の治療を扱う医学の一分野です。
一般に手術によらない治療法です。
内科は主に下垂体、甲状腺、副腎など内分泌臓器の疾患の治療を行い、内分秘や呼吸器などの臓器や機能別に専門化されています。
内科学の歴史は古く、紀元前3000年ごろエジプト文明やメソポタミヤ文明で始まり、古代中国やインドに伝わりました。長い歴史の中で研究がすすめられました。
現代では物理学や化学、薬理学の発展とともに、心電図やX線の技術も生まれ、科学の発達による新薬の研究が進み、難病の治療も可能になりました。
内科の分野は臓器別に分類され、医師は専門医でなくとも診療できることになっています。
医師は免許が必要ですが、科目ごとに分かれているわけではないので、医師免許さえあれば麻酔科以外は法令の範囲内で、いくつでも標榜は可能になります。
例えば泌尿器科を得意とする医師であっても、看板には内科、泌尿器科というように標榜しています。
患者からすれば自分の病気の原因は分からないことが多いので、とにかく内科で診てもらおうと思うのが当然でしょう。
より多くの患者を集めるためには内科を標榜することが多いようです。
外科も同じです。
外科=けがというイメージが強くなります。
したがって外科医は胃腸科や消化器科、内科、肛門科などを標榜することが多くなります。
まとめ
内科は薬で治療し、外科は手術で疾患を治療することは分かりました。
例えば乳がんになった患者の場合を考えると、乳がんの摘出手術は胸部外科が担当し、乳房の再生は形成外科が担当します。
そして薬を投与して快復を待ちます。
内科と外科は独立した別物ですが、実際にはこれらが協力し合って私たちの健康を守ってくれるのですね。
交通事故などで外傷を負い、手術が必要になった時、外科では縫合するけれど、傷跡は残る可能性は大きくなります。傷跡を残さないように縫合するなら形成外科で縫合するようです。
また、内科医も縫合することがあるようです。
例えば緊急を要したり、小さな傷などの処置での縫合は、内科の医師も縫合を行う場合があるようです。