竹と笹の違いは種類?「パンダ」「七夕」にはどっち?
ふだん見かけることも多い竹と笹。
「あれ?笹が大きくなると竹になるのでは…?」など、同じ種類だと思っている人は意外と多いのではないでしょうか。
竹と笹、実はちょっと複雑な関係をもつ植物なのです。
それぞれの違いや見分け方から、パンダや七夕といった縁深い話題、そして「テロ」の話まで…竹と笹について分かりやすくまとめました。
竹と笹の違いと見分け方
竹と笹ですが、実は植物学上の分類では親戚のようなものなのです。
どうりでよく似ています。(ちなみに、竹と笹どちらも「単子葉植物イネ科タケ亜科」に属します)
「大きいのが竹、小さいのが笹」という認識が広く知られているようですが、「成長途中の竹」なんて場合もあるのでこの見分け方はおすすめできません。
見た目で判別する一番わかりやすい特徴は「茎と葉」です。
◆竹
茎/ツルツルしていて、皮がついていない
葉/葉脈(葉っぱの裏側に走っている、たくさんのスジみたいなもの)が格子状
◆笹
茎/皮が剥がれずに残っている
葉/葉脈が平行のスジ状
この特徴はとてもわかりやすいので、覚えておけば簡単に竹と笹を見分けることができますね。
竹・笹を英語で…bamboo(バンブー)と何?
竹を英語でbamboo(バンブー)ということは有名ですね。
剣道で使う竹刀は「bamboo sword(バンブーソード)」となります。
では、笹の英訳は何でしょうか?
…答えはなんと「sasa(ササ)」!
日本語名のまま使われるのですが、これは笹が日本特有の植物だからです。
これにはビックリ。豆知識として覚えておくと面白いですね。
竹・笹による「テロ」に注意!
竹や笹はとにかく繁殖能力が高く、圧倒的な成長力を誇ります。
根がとても強く、広範囲にわたってぎっしりと伸びていくため一度根付くと駆除が難しいとされます。
本当か嘘か、自宅の庭に竹を植えたら隣家の畳を突き破ってタケノコが生えてきた、なんていう話があるほど。
そのすさまじい成長の勢いから「植物テロ」と物騒な呼ばれ方をすることも。
また、昔は「地震のときは竹やぶに逃げろ」と言われたという話も有名です。
これは、竹やぶの地中には強い根が縦横無尽に張り巡らされているため地割れが起きにくい、ということに由来しているようです。
パンダが食べるのは竹?笹?
パンダがエサを食べている姿はなんとも愛らしいですよね。
では、パンダが食べているのは竹?笹?どっちなんでしょう?
実はパンダは竹も笹も両方食べます。
今度食べているのを見たら、どっちか見分けがつくかも知れませんね。
ところで、ちょっと考えてみてください。
パンダって、熊ですよね。
熊って、肉食か雑食ですよね。
なぜ、パンダは熊でありながら竹や笹を主食とするようになったのでしょうか。
その理由は、氷河期に生き残りをかけたパンダの祖先の戦略にありました。
およそ300万年前、地球に氷河期が訪れ、多くの生物は絶滅の危機にさらされました。
そこで生き残りをかけ、身体の仕組みを進化させる必要に迫られます。
パンダの場合、祖先は肉食もしくは雑食だったと考えられています。
氷河期により激減する動物性の食料。
このままではまずいと、パンダの祖先が目をつけたのが竹や笹だったのです。
竹や笹は繁殖力が高く寒さにも強い。これを主食とするように適応すれば、生き残れる可能性が上がる。
その結果、パンダは竹や笹を食べるようになったと考えられています。
ちなみに、現在もパンダの消化器官は肉食動物の特徴をもっていて、植物を消化するには向いていないのだそうです。
しかも竹や笹は栄養価が低く大量に食べなければならないので、パンダは一日中ずっと竹や笹を食べています。
竹と笹、七夕にはどっち?
竹や笹にまつわるもう一つのテーマ「七夕」。
七夕といえば、「笹の葉さーらさらー♪」という童謡が頭に浮かびますね。
では、竹の葉ではダメなの?と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、「竹と笹どちらでもいい」です。
その理由は大きく分けて2つあります。
◆文部科学省の見解
植物学上の分類では竹と笹は区別される、ということはすでに解説しました。
しかし、「素材・材料」として使われるときの分類は植物学上の分類とは異なるという考え方が一般的です。
文部科学省の見解では「茎の部分を利用するときは”竹”と呼び、葉の部分を利用するときは”笹”と呼ぶ」とのこと。
七夕の場合は太い茎の部分ではなく枝先や葉の部分を使うので、竹と笹どちらを使っていても「笹」と呼んでいいということになりますね。
◆七夕の由来
七夕は、日本の五節句の中で「竹の節句」と呼ばれます。竹です。
さらに、七夕の由来の一つは中国の故事であり、中国に自生しているのは植物学上の分類でいえば笹ではなく竹だそうです。
このように、竹と笹は「植物学上の分類」と「素材・材料としての分類」2つの区別の仕方があるので、七夕の場合はどちらを使っても良いでしょう。
七夕飾りの葉を見て、「葉脈が格子状だから(植物学上は)竹」「葉脈が平行だから(植物学上は)笹」と瞬時に見分けられたらカッコいいですね。