ラーメン・中華そば・支那そばの違い-幸楽苑でも検証してみた。
日本人が愛してやまない「ラーメン」。
「中華そば」や「支那そば」という呼び名のラーメンもあります。
いったい何が違うのか、あなたはご存知でしょうか?
全く同じように思えるのですが、そこには明確な違いがありました。
あの幸楽苑でも筆者が足を運び、違いを検証してまいりました。
ラーメンと中華そばの違い
◆中華そば
中華そばは、中国大陸から日本に伝えられた食べ物です。
中国には様々な麺類があり、地域によってその呼び方も、麺の形や製法も様々です。
そのため、戦前は、日本に移り住んだ中国人が移住する前に暮らしていた地域の麺の呼び方が日本に定着し、老麺(ろうめん)、柳麺(りゅうめん)、支那そばなどと言われていました。
しかし、戦後には中国から伝わった麺類全般を中華そばというようになったのです。
◆ラーメン
ラーメンは、中華そばを日本のそば屋やうどん屋が見様見真似で作り、日本風にアレンジした中華風の日本そばの事です。
戦後日本は食糧難で、戦勝国伝来の中華そばは高価で一部の富裕層しか食べられない料理でした。
しかし、ラーメンの登場により大衆も安価な中華風の麺類を味わうことができるようになりました。
このように登場した大衆向けの安価なラーメンと区別するため、中国から伝来した高級な麺類を、中華そばと呼ぶようになりました。
近年は、日本生まれのラーメンが海を渡り、中国や台湾でブームになっております。
中国から伝わった中華めんが日本の繊細な味付けと、細やかな配慮により、伝来元の中国にもない日本独自の食文化へと変化したわけです。
中華そばと支那そばの違い
◆支那そば
戦前に中国から麺類が伝わった地域では支那そばと呼ぶようです。
東京や九州などはまだまだその名残りがあります。
このような地域でも、戦後に麺類を提供し始めた店舗は、中華めんやラーメンという名で麺類を提供しています。
そのため、東京や九州を中心に支那そば、中華そばという名が混在しています。
つまり、中華そばと支那そばは、食べ物としての違いはありません。
ただ、日本に伝わった時期が異なるというだけのことです。
近所のお年寄りに中国のことを支那と呼ぶ方はいらっしゃいませんか?
記憶に新しいのは、元東京都知事の石原氏が領土問題を口にしたとき、公の電波の前で中国を支那と言い換えたことがありました。
あの発言は他の意図もあったかもしれませんが、現在80歳以上の方の中には、中国のことを支那と呼ぶ方がいらっしゃるようです。
「幸楽苑」での中華そばとラーメンの違い
大手中華そばチェーン店の「幸楽苑」における中華そばとラーメンの違いは、麺の違いではなくスープの違いのようです。
印象としては、こってり系がラーメン。
あっさり系が中華そばと感じました。
その疑問を解決するため、近所の幸楽苑に行って、実際に食べ比べてみました。
中華そばは醤油の味が色濃く出ていて、あまり出汁の味を感じませんでした。
次にラーメンを食べてみると、魚介系の出汁の味がしました。
確かに出汁は日本独自の文化なので、それを生かした麺類は日本風中華そばであるラーメンということになりそうです。
店長さんに話を聞いてみましたが、出汁の違い以外に、ラーメンは油の量が中華めんの倍であることや、トッピングが異なるということもおっしゃっていました。
ラーメンはこってりしているというのも、間違いではないそうです。
まとめ
今や日本人のソウルフードとなったラーメン。
世界中に輸出され、爆発的な人気となっているラーメン。
海外から伝わったものをアレンジし、伝来元よりも素晴らしいものにしてしまう日本人の工夫と努力はまさに脱帽ものです。
その根底には、おもてなしの心があります。
来てくださるお客様に、より品質の高い商品を提供しよう、よりおいしいものを提供しようという心が感じられます。
同業者がお互いに切磋琢磨し、一杯のラーメンを作り上げる。
そんな努力の結晶を私たちはいただいていると思うと、一杯のラーメンをじっくりと味わって食べなくては申し訳なく感じます。
そのおもてなしの心に感謝し、食べ終わったら「ごちそうさま」と一言添えたいものですね。