破産と民事再生の違いを分かりやすく
『破産』という言葉と『民事再生』という言葉、どちらも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
とはいえ、破産と民事再生について詳しく知っている人は弁護士さんなどの法律に詳しい人がほとんどかもしれません。
そこで今回は破産と民事再生の違いについて調べてみました。
破産と民事再生の違い
◆破産
破産とは、借りたお金を経済的な理由から返せなくなった時に裁判所が選んだ破産管財人によって借金をした人の財産を管理・換価して、お金を貸した人(債権者)に公平に分配する法的手段のことです。
もっと簡単に言ってしまえば、財産をすべて失ってしまう、ということ。
ただし、借金が全て帳消しになるので経済面では再生の機会を与えてもらえることになります。
◆民事再生
民事再生とは、一定の条件を満たせば持ち家などの財産を持ったまま借金を大幅に減額してもらい、原則3年間で分割して借金を返していくというもの。
減額後の借金を返してしまえば、住宅ローン以外の借金は法律上返済しなくても良いことになります。
自己破産はすべての借金が消える代わりにすべての財産を失い、民事再生は高価な財産は手元に残せるものの、減額後に借金を返していく返済義務を負うということになります。
破産・民事再生の実務とは?
破産と民事再生の違いについて分かったところで、実際の実務についてご紹介しましょう。
…と言っても自己破産については法律に詳しい人にお願いするでしょうから、今回は手続きの流れをご紹介しますね。
まずは破産についてですが、手続きの前に知っておいたほうが良いことを先にお話しましょう。
自己破産はあくまでも本人だけに限られたものなので破産した人の家族には全く関係がありません。
カード会社などに存在するブラックリストですが、破産後10年はブラックリストに掲載されるため借入はできないものと肝に銘じておきましょう。
破産後は自分が稼いだお金だけで生活をするということを忘れずに。
そして破産の手続きを始めると、手続きが完了するまでは仕事ができない職種があります。
弁護士や公認会計士、公証人、司法書士、宅地建物取引業者、警備員、後見人、損害保険代理店などなど、幅広い職種に影響が出るので気を付けましょう。
では手続きについてご紹介します。
まずは破産手続きに必要な書類を用意します。
破産申立書や免責申立書、債権者一覧表、資産の目録、陳述書、家計の状況が分かるような書類などが必要となり、他には住民票や戸籍謄本、車を所有している人の場合では車検証の写しや査定書なども揃えなくてはいけません。
たくさんの種類の書類が必要になるので、一つ一つ確認をしながらしっかりと準備をします。
書類をすべて揃えたら管轄の地方裁判所に提出します。
その後は破産の審尋があり、裁判官から免責不許可自由にあたらないかの質問を受けます。
そしていよいよ破産手続きが開始され、裁判所から選ばれた破産管財人が選定されて手続きが進められ、3か月から6か月ほどで手続きが完了します。
もし財産を持っていない場合には、手続きが開始されたと同時に廃止、つまり破産手続きが終了となります。
続いて民事再生について。
民事再生の場合には借金が全て消えるわけではないものの、職業の制限がなく持ち家などの大きな財産を手放さずに済むというメリットがあります。
ただし、住宅ローンに関しては減額はされないので注意が必要です。
住宅ローン以外の借金が大幅に減額されることを覚えておきましょう。
あと、残った借金を3年間で返さなくてはいけないという点も忘れてはいけません。
では実際の手続きですが、民事再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類があり、小規模個人再生は住宅ローンを除いた借金額が5,000万円以下であること、債権者の半分以上の反対がないこと、反対した債権者からの借金の金額が借金全体の半分を超えていないことなどの条件を満たしていれば、継続して収入がある個人が利用することができます。
給与所得者等再生の場合は小規模個人再生を利用できる人で給与などの安定した収入を得ており、収入の変動が少ない人が利用できます。
返済額については、①最低弁済額②清算価値③可処分所得の2年分の3つの中から金額が多いほうを最低限返済する必要があります。
③の可処分所得とは、給料の手取り分から政令で決められた生活費を差し引いた金額のことです。
そのため小規模個人再生よりも返済金額が高くなるのですが、債権者の反対の数や借金額についてなどの条件がありません。
ただし、給与所得者等再生を利用するためには、過去7年以内で破産の免責を受けていないことが最低条件となります。
破産と民事再生のメリット・デメリットを理解して自分に合った選択をしましょう。