【鮭】さけ・しゃけ・サーモンの違い
鮭、美味しいですよね。
…今、あなたは「サケ」と読みましたでしょうか?「シャケ」と読みましたでしょうか?
考えてみたら、「サーモン」ってのもあるなあ。
それぞれの違いは何なのか気になって、調べてきました。
「さけ」と「しゃけ」の違い
結論から先に言います。
どちらも同じものを指す言葉でした。
鮭→サケでもシャケでもよいです。
ただ、辞書で引くときは「さけ」で行く必要があります。辞書によっては「さけ」の説明のなかに「しゃけ」と入っています。
ですので、「さけ」と「しゃけ」の違いは、その呼び方・発音だけでした。
その発音ですが、どちらがよく使われているのでしょうか。
ある調査では、全国平均で見ると「しゃけ」を使う人が6割強いるとのことです。
辞書では、扱いが「さけ」の方が偉くて、「しゃけ」に関しては「『しゃけ』って呼んでもいいよ」という扱いなのですが、実際には「しゃけ」の方が使われているという皮肉な状況となっています。
アイヌ語が起源?
では、こうして呼び方が2つあるのはどこから来ているのでしょうか?
いろいろ言われていますが、確実なものはないようなので、そのつもりで読んでくださいね。
【アイヌ語説】
まずはこれ。北海道の先住民族アイヌによるアイヌ語が起源だとする説です。
ーアイヌ語では「サ」の音と「シャ」の音の区別がはっきりとないため、どちらの音も広まった。
ーアイヌ語に「サクイベ」「シャケンベ」という言葉があり、これらは両方とも「鱒(マス)」を指すのだそうです。「鮭」じゃないの?って思いますよね?これについては、また後ほど説明します。
【鮭の状態による説】
もうひとつの説は、「鮭の状態」によって「サケ」と「シャケ」を使い分けるという説です。
この説によると、生きている状態では「サケ」と呼び、死んで食用に加工された状態のものを「シャケ」と呼ぶ、というもの。
言われてみれば、たしかに、と思える節はありますね。
でも、これも完全にそうだとも言い切れない感じですよね。
他にも説はありましたが、「確かに」度合いが低かったので触れないでおきます。
サーモン、鱒(マス)の扱いは?
ではでは、サーモンや鱒(マス)という呼び名が何を指すのでしょうか。
何となく「鮭」関連、あるいは周辺の言葉だという認識はありますよね。
特に、「サーモン」は「鮭」の英語でしょ、って思っている方は多いと思います。
ですが、調べてみると違っていました。
まず、「鮭」と「鱒」を見ます。
生物学的には、どちらもサケ科で、ざっくり言って同じ仲間です。
ですが一般に、海に降らずに淡水で一生を過ごすものを「マス」と呼び、海に降るものを「サケ」と呼ぶ傾向にあります。
また、サイズの大きくなるものを「サケ」、小さいものを「マス」と呼び分けるという味方もあります。
ですが、どちらも完全にそれで分けられるわけではありません。あいまいでややこしいですね。
では「サーモン」はどうでしょうか?
さきほど述べたように「サーモン」は鮭の英語ではありません…、というか、そうなんですが違うんです。。。またややこしいですね。
どういうことか整理すると、まず「鮭は英語でサーモン(salmon)」「鱒(マス)は英語でトラウト(trout)」とされています。
ですが、さきほど述べたように、そもそも日本語で「鮭」と「鱒」の境目が明確ではないのです。なので日本語では「マス」と呼ばれるもののなかに英語だと「サーモン」に分類されるものがあるのです。(例として「カラフトマス」)
また、英語で「トラウト」は淡水性の種のみを指します。
とか言いながら、英語圏でも見た目が似てる別の種の魚に「○○トラウト」と名付けちゃったものもあるようなので、日本語も英語もその境界線はあいまいなんです。
そのあいまいさに日本語と英語でズレがあるので、サーモン=鮭、トラウト=鱒とは完全にはならないんですね。
サーモンでトラウトって?
ちなみに、「サーモントラウト」ってありますよね。刺し身や寿司ネタとしても重宝されています。
でも、ここまで読んでくると、「サーモンでトラウト?」ってなりますよね?
これも調べて分かりましたが、なんと「サーモントラウト」ってもともと商品名なんですって。
サーモントラウトは生物学的には「ニジマス」。ニジマスは海に降りてこない淡水性だから、もともとは「トラウト」の一種。
そのニジマスを改良して、海(河口付近)で養殖しているものが「サーモントラウト」なんです。海だから「サーモン」の名前を追加したんですね。
これは驚きです。
どうでしたか?
今回は、日本語だけでもあいまいでややこしいところに、英語も混じってきて、しかも英語もあいまいだということで、ふわっとした感じになってしまいましたが、いくらか助けになりましたでしょうか。
いずれにせよ、また美味しくいただくことにしましょう。