遵守と順守の違い

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コンプライアンスのことを「法令遵守」と言いますが、このときの「遵守」という言葉、「あれ?『順守』って書くんじゃないの?」と思う方も多いです。

言われてみれば、どちらの表記も見かけるような。。。

「遵守」と「順守」の意味・違い・使い分けについて、調べてみると意外な事実が分かりました。

遵守・順守の意味と違い

「遵守」「順守」の意味を調べてみると、なんと、身もふたもなく、「まったく同じ意味」でした。

どちらも、「規則・法律・道徳・習慣などを守って、それらに従うこと」です。

ですので、「法令遵守」も「法令順守」もどちらも「法令を守って、法令に従うこと」を意味します。

順守と遵守の使い分け、公文書ではどちら?

意味がまったく同じ「順守」と「遵守」ですが、場面に応じてそれらは使い分けられています。

「遵守」の方は、役所などが作る、いわゆる公文書や公用文で用いられます。

一方「順守」の方は、新聞ではこちらで統一されています。

このように使い分けがされているのですが、いったいなぜなのでしょうか?

「順守」は今さら「遵守」に戻せない!?

実は、もともと「遵守」という表記だけが使われていました。

かなり以前の話になりますが、1954年、当用漢字表から「遵」の文字が削除される候補に上がりました。(当用漢字表とは、「日常生活で使う漢字の範囲」として1,850種の漢字が示されたもの)

それを受けて翌年、日本新聞協会が「遵守」を「順守」に変更することを決めたのです。

ですが、「遵」の文字は、まだ削除される「候補」という位置付けだったので、役所が作る公文書などでは、変わらず「遵守」が使われました。

それから26年後の1981年、「一般社会で使う漢字の範囲の目安」として当用漢字表に替わって「常用漢字表(当時1945文字)」が示されました。

そして、この「常用漢字表」には「遵」の文字が含まれていました。

「削除されるかもしれない」という候補のまま26年が過ぎ、結局生き残ったのです。

ですので、結果的に公文書などでは、一貫して「遵守」を使い続けています。

「遵守」を「順守」に変更した新聞業界は、26年も経ってしまっていたことから、「今さら元に戻せない」のだと思います。

新聞は今でも「順守」を使っています。

遵守と厳守の違い

「遵守」と「厳守」についても違いを見ておきましょう。

「厳守」の意味は「規則・約束などを厳しく守ること」です。

「遵守」との違いのポイントは、「遵守」が「法律や規則などに従う」ニュアンスで使われ、「厳守」はより広い意味での規則や約束を「厳しく守る」というニュアンスになります。

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