付く・着く・点くー違いと使い分けをわかりやすく
「日本語って素晴らしい言葉だなあ」と思うことが多いのですが、ときどき「日本語って大変だなあ」と思うことがあります。
その一つが同じ読み方なのに、意味によって漢字が違うときです。
普段話し言葉を使っているときは漢字まで意識していないことも多いので、いざ漢字に変換しないといけない場面で「この場合はどの漢字?」ってなることがちょくちょくありますよね。
今回取り上げる「付く」「着く」「点く」もそうです。
「つく」にはもっと言えば「就く」「突く」「憑く」「衝く」などもあって、ふ~っ、とため息を「吐いちゃい(ついちゃい)」そうです。
付く・着く・着くの意味の違い
では、まずそれぞれの意味を順に見ていきます。
◆付く
もっとも使う場面が多い「つく」ですね。いくつか意味があるようです。
1.2つが触れて離れない状態になる。
2.今あるものや主となるものに、さらに加わる。
3.消えないであとが残る。
4.新たな状態が発生する。明らかに定まる。
5.意識や注意を向ける。
主にこんなところでしょうか。全体に共通するイメージは「別々の何かと何かが離れない状態になる」ということですね。
◆着く
1.移動してある場所に到達する。
2.ある所に届いて触れる。
3.ある場所を占める。
といった感じです。こちらは全体に共通するイメージとしては「何かが別の場所やモノのところまで届く」という感じですね。
◆点く
こちらは先ほどの2つとは、やや違った概念となりそうです。
1.燃え始める。灯りがともる。
2.電気器具などが動く。
灯りをともすことを「点灯(てんとう」と言うのを思えば意味のイメージができそうですね。
付く・着くの使い分け
「点く」は大丈夫かと思いますが、「付く」と「着く」はちょっと判断に迷うときもあるかと思います。
ここでは、例文を使ってこの2つの使い分けを見ていきます。
せっかくなのでクイズ形式でやってみましょう。後で回答を示します。
【問題】
◆うんこが靴の底につく。
◆ひとつ買えば、もうひとつついてくる。
◆頼んでいない商品が家についた。
◆Tシャツにヨダレがついた。
◆席につくやいなや、オナラが出た。
◆変な条件はつけないでくれ!
◆向こうで踊っている人が目につく。
◆「位置について、ヨーイドン!」
◆困ったら笑ってごまかすクセが身についてしまった。
◆のっぽの彼は、まもなく頭が天井につく。
◆彼はいつも正しい側ではなく、強い側につく。
【答え】
◆うんこが靴の底に付く。→靴の底とうんこが離れない状態になっているのですね。
◆ひとつ買えば、もうひとつ付いてくる。→ひとつめを「メイン」で買ったら、もうひとつ加わったということですね。
◆頼んでいない商品が家に着いた。→商品が移動してきて家に達したんですね、頼んでないけど。
◆Tシャツにヨダレが付いた。→ヨダレの跡が消えないで残っているのか、単にTシャツとヨダレが離れない状態だと言っているのですね。
◆席に着くやいなや、オナラが出た。→席を占拠したとたんの出来事でした。
◆変な条件はつけないでくれ!→条件によって新たな状態を発生させないでくれ!ってことですね。
◆向こうで踊っている人が目に付く。→向こうで踊っている奇妙な人に注意が向いてしまうのですね。
◆「位置に着いて、ヨーイドン!」→スタート位置を占拠しなさいよ、いいですか、ゴー!
◆困ったら笑ってごまかすクセが身に付いてしまった。→新しくクセを持った状態が発生した、あるいは、もともと存在するその人にさらに新しくクセが加わったということですね。
◆のっぽの彼は、まもなく頭が天井に着く。→頭が天井に届いて触れそうなんですね。めっちゃ背高いやん!
◆彼はいつも正しい側ではなく、強い側に付く。→これは、彼は強い側と離れないヤツだということ、強い側というメインに彼がさらに加わる、彼は強い側の味方という新しい状態を発生させる、などなどの捉え方ができますね。
どうでしょうか。少しは勉強になった!感じがありましたでしょうか。
それとも、変な例文が鼻に付きましたでしょうか?