出生地と出身地の違い―生まれ、地元、故郷の英語での違いも

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あなたの出身地はどこですか?と聞かれたときに、どう答えるでしょうか。

生まれた場所のこと?

では、生まれてすぐに引っ越した場合や、いわゆる転勤族の家庭で生まれ育った場合はどうなるのでしょうか。

〇〇生まれ、△△育ちという言い方もありますね。

さらに、「地元」と「故郷」はどのように使い分ければいいのかも気になります。

それぞれの定義や英語での違いまで、わかりやすく解説していきます。

まずは出生地と出身地の違いから

「出生地」は、ずばり「生まれた場所のこと」を指します。

日本国内で赤ちゃんが誕生した場合、14日以内に「出生届(しゅっしょうとどけ)」を役所に提出する義務があり、その項目に「出生の年月日時分及び場所」があります。

ここに記された場所がその人の「出生地」ということですね。

両親ともに東京に住民票がある家庭でも、例えば北海道に里帰り出産をした場合、その赤ちゃんの出生地欄には北海道と書くことになります。

このように出生地は、戸籍謄本に記載され法律的にもはっきりとした定めのあるものです。

では、「出身地」の場合はどうでしょうか。

出身地という言葉には明確な定義はなく、いくつかの解釈があります。

おもに「生まれた土地」「育った土地」「生まれ育った土地」のいずれかを出身地と呼ぶ場合が多いようです。

生まれた土地と育った土地が同じという人は「あれ?出身地はどこだ?」と悩むことはありませんが、幼い頃からいろいろな土地を転々とするような暮らしを経験する人も多くいますよね。

そんな人が出身を聞かれたときには、「生まれてから15歳までの間、一番長く過ごした場所」を出身地として答える場合が多いようです。

○○大学出身のように、「出身」という言葉にはそこで培われたものや影響を受けた経験というニュアンスが含まれているので、自分の人格形成にもっとも影響を与えた場所=子ども時代を長く過ごした場所を出身地と認識する場合が多いのではないでしょうか。

こうして並べてみると、出生地(=〇〇生まれ)と出身には違いがあることがよくわかりますね。

「地元」と「故郷」には違いはある?具体例で考えてみると

日常でもよく使われる「地元」という言葉。

「生まれ育った場所」という意味で使われる場合が多いようですが、実は「地元」という言葉の本来の意味には「現在住んでいる場所」も含まれます。

意外ですね!

「地元」という言葉には「その人の勢力範囲」という意味があり、たとえば政治家が基盤とする土地などを指して「地元」ということも多くあります。

その場合、必ずしもその政治家本人の出身地とは限らないわけです。

さらに、「地元」=「実家がある場所」という意味でもありません。

具体的に、次のような場合を考えてみましょう。

こんなときどうなる?出身地や地元、故郷の違いを具体例で考えてみよう

例えば、エジプトで生まれて2歳のときに鹿児島に引っ越し、18歳まで鹿児島で育ったAさんがいたとします。

高校を卒業したAさんは進学のために東京で一人暮らしをし、その間に実家がアメリカへ引っ越しました。

東京で学生生活を終えたAさんは社会人になり、その後40年間を青森で暮らしています。

…そんなある日、旅行先の京都で「地元はどこですか?」と聞かれました。

さてこの場合、Aさんはどこを「地元」と答えるでしょうか?

おそらく、青森と答えるでしょう。

もしかしたら鹿児島と答えるかもしれません。

どう考えても、アメリカと答えることはなさそうですね。

 

では、同じ状況で「故郷はどこですか?」と聞かれたらなんと答えるでしょうか。

「鹿児島」と答えるような気がしますね。

故郷は「こきょう」だけでなく、「ふるさと」と読むこともあるように、古い思い入れがある土地を指すニュアンスを持っています。

さらに、「今自分がそこで暮らしていない」という状況の場合にしっくりくる言葉のようです。

もしAさんが生まれてから今までずっとエジプトに住んでいるとしたら、旅行先で「故郷はどこですか?」と聞かれた場合「故郷というか…生まれも育ちもエジプトです」と答えると思います。

「故郷」という言葉には、「かつて暮らした思い出の地」という郷愁が含まれるようです。

 

ちなみにこのAさんに「どこ生まれ?」と聞いたら「エジプト」。

「ご出身は?」と聞いたら「鹿児島」と答えるでしょう。

整理すると、Aさんは、出生地はエジプト、出身地は鹿児島で、故郷も鹿児島。地元は青森(または鹿児島)ということになります。

うーん、日本語ってムズカシイですね。

地元、故郷、生まれ、出身を英語で。日本語より分かりやすい?

複雑な来歴をもつAさんの登場により思考回路が混乱してきたところで、これらを英語では何というのかを見てみましょう。

まず、「地元」は「hometown」ですね。

文章にすると<This is my hometown.=ここが私の地元です。>と表現します。

英語では、故郷と地元を区別する表現はありません。

「ここが私の故郷です。」と言いたい場合も<This is my hometown.>です。

つまりAさんの場合、鹿児島と青森どちらをhometownというかは状況次第ということになりますね。

「○○生まれ」と言いたい場合は、「I was born in ◯◯」か「My birthplace is ◯◯」を使います。

Aさんの場合は「I was born in Egypt.」ですね。

「出身」と言いたいときは「I am from ◯◯」を使いますので、<私は鹿児島出身です。=I am from Kagoshima.>ですね。

生まれと出身の使い分け方は、日本語とも似ている感じがします。

いかがでしたか?自然に使い分けているけれど、よく考えてみると実は奥が深い言葉の世界。

出身や生まれ育った土地について話をするときにはぜひ、思い出してみてください。

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