「実施」と「実行」は、どちらも「実際に行うこと」を表す言葉ですが、使われる場面やニュアンスには明確な違いがあります。日常会話からビジネスシーンまで頻出するこの2語、正しく使い分けるためには意味の違いをしっかり理解しておくことが大切です。この記事では、「実施」と「実行」の違いを具体例とともに分かりやすく紹介します。

「実施」と「実行」の違いを一言でまとめると?

結論から言うと、「実施」は計画や制度、イベントなどを行うこと、「実行」は行動や命令、作業などを実際に行うことを指します。

たとえば、「イベントを実施する」「プランを実施する」と言う時は、何らかの計画や制度を実際に始めるという意味です。一方、「命令を実行する」「計画を実行に移す」は、行動として実際にやるという意味で使われます。

意味の違いを比較表で確認

項目実施実行
基本の意味計画や制度などを実際に行う具体的な行動を実際に行う
対象イベント、アンケート、政策など命令、作業、目標、スクリプトなど
ニュアンス公式・制度的・形式的行動的・積極的・即効的
例文健康診断を実施する指示通りに実行する

このように、「実施」は「何かを開始・実行する枠組み」の意味が強く、「実行」は「動作そのもの」を行うイメージです。

「実施」と「実行」の使い分けを会話例で理解しよう

それぞれの言葉が実際にどんな場面で使われるのか、会話形式で見てみましょう。

例1:会社での会話

A:「来週から健康診断が実施されるらしいよ」
B:「そうなんだ、いつ受けるか決めなきゃ」

ここでは「健康診断」というイベント的なものを開始するので「実施」が使われます。

例2:業務指示の場面

A:「この手順、今すぐ実行できますか?」
B:「はい、準備は整っています」

この場合は、実際に手順を「行動としてやる」ので「実行」が自然です。

両者の違いは、「実施=制度・枠組みを動かす」「実行=動作を行う」と覚えると使い分けしやすくなります。

間違いやすいポイントと注意点

「実施」も「実行」も、英語の“do”や“execute”などに対応する日本語ですが、意味が重なる部分もあるため、間違えて使われることがあります。

たとえば、

  • 「アンケートを実行する」→ 不自然(制度的なので「実施」が適切)
  • 「計画を実施に移す」→ やや不自然(この場合は「実行に移す」が自然)

また、ビジネス文書などで「実施」と「実行」を混同すると、少し違和感のある文章になってしまうことも。場面や対象を意識して、適切に言葉を選ぶことが信頼感にもつながります。

結局どっちを使うべき?判断のコツ

迷った時は、以下のポイントで判断してみてください。

  • 制度、イベント、仕組みなどを開始・運用する → 実施
  • 行動、命令、処理、作業などを遂行する → 実行

たとえば、イベントや調査は「実施」、指示や命令は「実行」が基本です。

言葉の選び方ひとつで、文章の印象や説得力が変わります。正確な意味を理解して、場面に応じた使い分けを意識してみましょう。